はじめに

原因不明の体調不良が実は『機能性低血糖症』だった。ここに辿り着くまで、沢山時間を費やしました。
世間ではまだ広く認知されていないこの病気、少しでも多くの人がこの苦しみから抜け出せますように。
治療体験談です。

お願い

※このブログはあくまで個人的な治療体験にもとづき、低血糖症についての情報をまとめさせていただいたものです。症状や治療法に個人差があり、全ての人に当てはまるものではございません。主観的な意見も多く含まれますので、参考程度にご覧ください。

2011/01/30

機能性低血糖症の治療 〜栄養療法・食事療法〜

今回は治療法1に続いて必要な栄養素の補充についてのお話。
その前に確認ですが、機能性低血糖症とは膵臓の機能障害です。
ですから一般的な治療=症状を抑えるための対症療法では
根本的な改善にはつながりません。
それどころか、薬の服用を続けたことによるリスクや副作用で
事態はどんどん悪化しかねません。

ですから栄養療法、食事療法、運動療法+αで改善をはかります。
またこれが現在唯一有効な治療法と言われています。

さて、
『必要な栄養素の補充』の目的は
・エネルギーの安定供給
・身体機能の回復
といったところでしょうか。

例えるならば低血糖症の方の身体は、
非常に燃費の悪い自動車のような状態になっています。
自動車を動かすために必要なものがガソリンだとすると、
人間が動くために必要なのがエネルギーです。

そのエネルギーの元になるものが三大栄養素と言われる
炭水化物、タンパク質、脂質です。
割合としては炭水化物が一番多く、次いでタンパク質、脂肪となります。
特に、炭水化物から作られるブドウ糖はエネルギー源としてだけでなく、
多くの生理作用に関与し重要な役割を果たします。

低血糖症により糖代謝が上手く行われていない低血糖症患者の身体は、
ブドウ糖が急激に取り込まれることで、食べてもすぐにエネルギー不足
(低血糖状態)に陥り身体に様々な支障をきたします。
頻繁にエネルギーを補うことで不足状態を回避することができるのです。

そのための安定したエネルギー源となるのがタンパク質です。
なぜなら、低血糖時やストレス時には、タンパク質をブドウ糖に変えて
血糖値を上昇させることができるからです。
つまり、治療に際して一番優先して摂取しなければならないもの
それがタンパク質なのです。
タンパク質を上手に摂取することで、常に血糖値が安定した状態を
作り出すことが出来ます。摂取の仕方は最後に…。(やっぱり次回に…。)

また三大栄養素をエネルギーに代えるのに必要な酵素が、ビタミンB郡です
エネルギーを作り出すのに必要な代謝や
身体の機能を調整しているのはミネラルです。

栄養素はエネルギー生成をスムーズに行い、症状を抑えるだけでなく
下記のように機能を高めていくこともできます。

例えば…
ビタミンBは自律神経を安定させます。
ビタミンCもまた酵素の働きを助け、鉄の吸収やインスリン感度、
免疫力向上にかかわります。
ビタミンEは冷え症状、月経前緊張症に効果を現します。

ミネラル(亜鉛)は膵臓からのインスリン分泌を助けます。
生理前の症状にも効果を現し、脳の機能にも大切です。
ミネラル(カルシウム・マグネシウム)はホルモン分泌や神経を安定させます。
心臓機能の正常化や偏頭痛の改善も見られます。
ミネラル(鉄)は貧血の改善に役立ちます。

などなど…、一部を上げましたが栄養素がいかに
身体の機能回復に不可欠であるか、お分かりいただけたでしょうか。

まとめると、栄養療法、食事療法で大切なのは
タンパク質(最重要)、ビタミン、ミネラル!


そして、もう一つ忘れてはいけないのが
・血糖値を安定させること
そもそも低血糖症とは何度も言っている通り、
様々な要因で血糖値が急上昇、急下降を繰り返すことで
膵臓の機能に負担がかかり発生するものです。
そのため症状や血糖調整機能を回復させるには血糖値を安定させることが
必須になってきます。
簡単にいえば以前お話した血糖値を急上昇させる原因と、
急下降させる原因をなくすことです。

つまり、
食生活の見直し(糖質を抑え、不足栄養素を取る)
カフェイン、アルコール、タバコを控える!
ストレス、睡眠不足を解消する!
です。
単に、欠乏している栄養素を補うだけでなく、
取りすぎていた糖質を制限することはとても大切です。

また血糖値を急降下させないために…
エネルギーを持続させる!
これは今日の最初からずっと説明してる部分なので説明は省きます。

最後に、もう一つ
『摂取の仕方(食べ方)』について説明させていただこうかと思いましたが、
次回にしようと思います。これは単独で説明してよいほど大切なので。

西洋医学に慣れた私にとって、分子整合栄養学を信頼して継続するためには
動悸付けが必要でした。詳しい治療法というよりも、
皆さんがこの治療法を信じて取り組めるために、何が必要で
何が役に立つ情報かを考えて書いてみました。
自分なりに出来るだけ分かりやすく栄養治療の果たす意味を書いたつもりですが
理解不足や至らない点が、ございましたらご指摘いただけると幸いです。

2011/01/28

機能性低血糖症の治療 〜血液検査〜

ちょっと治療の話の前に…。
昨年のクリスマスに地域の催しで実家にサンタさんから
お菓子の詰め合わせが届きました。その中にあったスナック菓子たちです。



これら全てに低血糖症の原因となる糖分=砂糖やブドウ糖果糖液等が
入っていました。
以前から私は甘いものをあまり好まないと書いてきましたが
これを見てコンビニへ直行!私が好きだった甘くない加工食品には
必ずと言っていいほど『ブドウ糖果糖液等』の文字が…。 
がーん!これが砂糖の恐ろしさなのねーと実感した出来事でした。

さて!気を取り直して…
低血糖症の方は栄養欠乏状態にあるとお話しましたが
5時間の糖負荷検査と一緒に行う血液検査では
下記のような結果になることが多いとか。
ご参考までにどうぞ。

総コレステロール 低下
中性脂肪 低下
脂肪酸 上昇
総タンパク質 低下
カリウム 低下 (カルシウム、マグネシウムも同時低下)
LDH(乳酸水素酵素) 低下
ALP 低下(亜鉛不足)
MCV 上昇
アミラーゼ値 上昇
Hb Fe フェリチン 低下

太字は私も当てはまっていた項目で、鉄欠乏性貧血、脂質代謝異常、
副腎皮質ホルモン分泌過剰、であると説明されました。
説明してくれた栄養士さんの話によると、
血液検査の基準値とはあくまで参考値であり
検査会社が自称健康とした人々の平均値を出していたりするので、
範囲内だからといって一概に安心できないそうです。
(全てがそうではないと思いますし、そんな安易に信じれないのが私ですが…)

私も鉄欠乏性貧血の基準になるフェリチンの数値が低めではありましたが
基準値内には入っていました。
しかしこの基準値には男性も含まれているわけで、
生理のある女性と必要量が同じであると考えることが
そもそもおかしいそうで妙に納得してしまいました。

血液検査は健康診断につきものです。異常がない場合でも、
基準値の範囲内で自分の数値が低すぎないか、あるいは
高すぎないかということを意識すると、
健康維持に非常に役立つのではないでしょか。私もこの話をきいてから、
ここ数年の健康診断の血液検査の結果をよく見なおしてみたところ、
毎年徐々にカリウムが減っていたことが分かりました。
コレステロールもやはり年を追うごとに下がっていました。

こうして結果を見ながら、低血糖症に関係する栄養素の観点から振り返ると
タンパク質が極端に低い食事をとっていたことも、鉄分やミネラルも当時の
食事では十分ではなかったことも全て現れていました。
それに加えて不規則な生活やストレスにカフェイン…
やはり病気を引き起こす要素は沢山あったのでしょう。

私がこの病気になって学んだことは、健康診断の結果に踊らされないことです。
例えば基準値内にあれば一般的にコレステロールが低ければ安心します。
しかし正しい知識を持っていれば不調の原因にたどり着きやすく、
かつ予防もしやすいと思います。
通常の健康診断の血液検査では入っていない項目も多々ありますし、
例えば大病の場合、それが血液検査に現れる時にはかなり
病気が進行している状態になってからというものも少なくないそうです。
病気になって治療するより、その前に防ぐことができる方が絶対いいと思いませんか。
もっと血液検査に対する知識や意識を変えて予防医学の観点から
健康診断を行うことが大切なんじゃないかなと私は感じています。

2011/01/27

機能性低血糖症の治療 〜治療法〜

以前にもお話ししたように、機能性低血糖症とは膵臓の機能障害です。
ですから一般的な治療=症状を抑えるための対症療法では
根本的な改善にはなりません。
それどころか、薬の服用を続けたことによるリスクや副作用で
事態はどんどん悪化しかねません。私自身がそうでした。

では低血糖症に有効な治療法とは何でしょうか?
それは以下の通りです。
栄養療法
食事療法
運動療法
+生活改善 (規則的な生活 十分な睡眠 十分な休養 など)
※辛い症状に悩まされる場合、医師と相談し治療薬の投与も。

これらの治療の目的は、今現在欠乏している栄養素を補うことと、
さらに必要な栄養素を十分に増やしていくことで、
症状を改善し身体機能・自然治癒力を高めることです。
運動や生活改善をすることも心身の回復と
栄養素を有効に体内に取り込み代謝を促すために必要です。

さらに詳しく栄養療法の効果を理解するために、
まずは『不足分の補給』について説明します。

機能性低血糖症の人は必ずと言っていいほど
『栄養欠乏状態』にあると言われています。
それは…
・食事の糖質・脂質の占める割合が高くカロリーが増えると
 ビタミンの必要量が増るため。
・糖質の多い生活を続けるとビタミンBがどんどんなくなる。
・ジャンクフード、冷凍食品、レトルトフードなどにより栄養摂取量が減る。
・ストレス、喫煙やアルコールはビタミンを消耗する。
・ストレス時は栄養吸収の低下へも影響する。
低血糖症になりやすい体質の胃酸過多・胃下垂などは
 消化不良を引き起こし鉄欠乏性貧血や栄養不良のもとになる。
・そもそも生育環境の変化などから現代は食物(野菜など)自体に
 含まれるビタミン・ミネラルが不足しているとも言われる。

…以上のような理由からです。
単純な食生活の乱れによる分かりやすい栄養不足に加え、
現代人の必要とする栄養素と一般的な現代人の食事の栄養含有量の差からも
栄養不足に陥りやすいのです。
レトルトや冷凍食品に頼っていないとしても、
現代人の生活では意識しない限り、栄養不足にさらされているといえます。

さらに!
栄養不足が起こった身体では…
・鉄、タンパク質、ビタミンBなどが不足した場合、消化吸収に影響を与える。
 (→栄養欠乏!)
・栄養失調や貧血状態では自律神経の機能が低下する。
・自律神経の乱れが栄養の吸収に大きく関わる(→またも栄養欠乏!!)
・自律神経の乱れにより、身体の機能をコントロールできず様々な症状が現れる。
・栄養欠乏は代謝の低下や体調不良をおこす。
・低血糖症の場合、特に午後になると低くなった血糖値をあげるために
 アドレナリンが分泌され血流が低下し消化吸収も低下(→ここでも栄養欠乏!!!)

…といった悪循環により、自分が思っている以上に栄養欠乏状態になっており
低血糖症の症状をどんどん悪化させていくのです。
これらの『栄養欠乏』の是正には治療レベルでのサプリメントの摂取が
必要になります。これが栄養療法です。
もちろん食事での栄養補給は必須です。
摂取時間や食べる順番によって吸収率や代謝率に大きく関わってきます。
そして治療中はもちろんのこと、回復後サプリを飲まず生活していくには、
食事の中で必要な栄養素を取る必要があるからです。これが食事療法です。

これで低血糖症の方が往々にして『栄養欠乏』に陥っていることと、
不足している栄養素を補わなければいけない理由が
お分かりいただけたでしょうか。
栄養療法や食事療法は血糖値を安定させるためにも重要になってきますが、
その辺りの『必要な栄養素』については次回お話したいと思います。

私自身、最初は食事と栄養治療だけで、本当に効果がでるのか半信半疑でした。
しかし、実際に治療年月がたつにつれ、その効果を実感しています。
機能に異常を来している膵臓に働きかけ、血糖値を安定させる即効性のある
治療薬が出たらそれはよいのかもしれませんが、
身体の機能をずっと健康に保っていくことを考えると、
栄養療法は非常に効果的な治療法であると治療をつづけてきた今なら
感じることができます。

世間では治療法がない病気もある中で、ゆるやかな回復であれ、
有効な手だてがあっただけでも感謝しなければいけないという
気持ちさえしています。

2011/01/06

新年あけましておめでとうございます。

少しずつではありますが、このブログも日々の訪問者数が
のびて参りました。
拙い、そしてひっそりと進めているこのブログを見つけたどり着いてくださり
ありがとうございます。

ここ数日は1ヶ月の中でも体調が悪い時期だったため、
少し寝込んでおりましたが、久しぶりに投稿することできました。
そして最近はっきりと実感していることは、
そんな一番体調の悪い期間以外の日々は、
本当にとても元気になっていることです。
治療の成果、休養をとった成果、体力作りの成果、この半年自分と向き合った成果…
多くのことが私の健康を少しずつ取り戻すきっかけになったように思います。

思えばこの病気のことを知ってほしく、ブログを立ち上げた当初は
記事の投稿もままならぬような状況でした。
症状が一進一退でこのまま治療を続ける意味があるのかと
ひとり不安になることも多かったです。
しかし、気がつけば少しずつ記事を増やすことができ
と同時に自分の身体も徐々に回復の一途をたどっております。

きっとここにたどり着いてくださる多くの方が興味をもたれている
治療法のこと、そして治療経過など今年は書いていければと思いますので
引き続きおつきあいください。

そして何より2011年も皆様が健やかで、
幸せにつつまれた1年になりますように…。
本年もよろしくお願いします。

hiro